結論を言うと、特に夏は!ポータブル電源を車内に放置はNGです。
車中泊だけじゃない、キャンプや防災でも使える知識を解説していきます。
夏は、車内の温度はとても高くなります。そんな環境に一時的でもポータブル電源を放置することはバッテリーの劣化の原因になります。
本記事では、車内の各場所ごとの温度の違いから、ポータブル電源を万が一、車内に放置する場合、どこにどのように置いたらいいか?対策方法を解説します。
【本記事で分かること】
ポータブル電源は、40℃以上で劣化が早まる
ポータブル電源に搭載されている「三元系やリン酸鉄のリチウムイオン電池」は、リチウムイオン電池の劣化挙動調査により、40度以上の環境下で保存、充放電をすると劣化が早まることが分かっています。
60℃の環境下では、わずか50日ほどで95%。100日で90%にまで劣化が進みます。主な理由は、電池内に被膜が形成され、被膜内にリチウムイオンが捕捉され、移動できるリチウムイオンの量が減少するためと考えられています。
車内の暑さ対策は、人だけでなく、ポータブル電源にも必要です。バッテリーの劣化により蓄電量や出力が低下して、使いたい家電を十分な時間利用できないなどの問題が起きてしまいます。
更に、内蔵された電子回路などがダメージを受ける恐れがあり、ゆくゆく不具合が起きる可能性も考えられます。
少しでもバッテリーの劣化や安全性を保つために、適切な理解で春夏を乗り越えていきましょう。
【注意喚起】ポータブル電源を車内に放置
注意喚起です。
基本的にポータブル電源を車内に放置・保管することはNGです。本動画では、一時的な車での持ち運びを想定して解説しています。
例えば、車中泊キャンプなどのアウトドア、屋外作業、緊急時に車で避難する場合などを想定しています。
よくある質問で「ポータブル電源を車内に放置・保管しても大丈夫ですか?」と聞かれますが、本動画は、そんな質問に対しての回答でもあります。
夏の車内温度の推移|車内に放置は難しい
それでは、春夏の車内温度の推移を解説していきます。
暑さ対策での車内温度の違い
こちらの図は、夏(8月22日)35℃でのJAFの調査結果を元に作成しました。
春の調査結果でも外気温23℃で車内は40℃を超える結果になっていたので、春からポータブル電源の対策が必要と言えます。
エアコンを利用しない場合だと、車内用サンシェードで平均温度45℃、窓あけ(3cm)で42℃が一番効果的ですが、40℃を超えてしまうため、ポータブル電源の劣化を早めてしまいます。
車体の色は、黒色より白色の方が、約5℃下がることが分かります。しかし、それだけで車体の色を選ぶことは難しいため、たとえば、ルーフキャリアをつけて、直接ルーフに日光が当たらない対策をすることで、多少は効果があります。
実際に、ルーフテントをつけていた時、天井からの熱を多少防ぐことができました。
サンシェードありなしで車内温度の違い
次に、こちらの図は、夏(8月28日)29℃での調査結果元に作成しました。
左側縦の列は、上からサンシェードなし、車内用サンシェード、車外用サンシェードの3つでそれぞれの温度差を図にしています。
車外用サンシェードが圧倒的に温度が上がりにくいことが分かります。車内の平均温度38℃です。
車内用だと、サンシェードとフロントガラスの間に温かい空気が溜まり、車内に流れ込みます。結果的に、車内の温度を上げてしまいます。
最後に、車内の場所ごとの温度差を見ていきます。
車内の各場所の温度差
夏(7月22日)35℃で車外用サンシェードを利用した場合の各場所の温度差を図にしています。
左側縦上から、後部座席、後部座席足元、前席の背もたれ、前席の足元、ダッシュボードの5つの場所の温度を計測しています。
前席、後部座席、共に足元が最も温度が低く、前席の足元38.3℃、後部座席足元37.1℃で40℃を下回る結果となりました。前席の方が温度が高い理由として、高温化したダッシュボードの熱が足元に伝わったと考えられます。
上記の理由として、ポータブル電源の最適な置き場は、後部座席の足元と言えます。
実際に、僕も春夏の車中泊では、後部座席の足元にポータブル電源を置いて、車移動や利用しています。
利用する時は、延長コードをポータブル電源のAC出力に接続して利用しています。
【対策の仕方】ポータブル電源を車内に放置する対策
春夏に車内で一時的に保管する対策は、実際に僕が行なっている方法を紹介します。
ポータブル電源より、ひと回り大きいソフトクーラーボックスに入れて、後部座席の足元にスノコを敷き、その上に置きます。
車を駐車している時は、車外用のサンシェードをつけ、窓を3cmほど開けています。また換気用として、後部座席の上部の手すりにクリップ付きの小型扇風機を取り付けて利用しています。
車中泊などで利用する場合は、ソフトクーラーボックスから出して、スノコの上に置いて利用しています。
外で利用する場合は、ポータブル電源が直射日光に当たらないようにして、風通しの良い場所で利用します。日が当たる場合は、100均などで売っているエアコンの室外機用の日除けシートをポータブル電源の上に置くのも効果的です。
結果的に、車内温度が高くなりすぎず、無駄な電力やガソリンを使わずに済みます。
【対策アイテム】これで車内に一時的に保管・放置ができる
実際に使っているアイテムを紹介します。
ポータブル電源の大きさや車の大きさによって、変わるため、あくまで参考にしてください。
- ソフトクーラーボックスは、konomiというブランドの18Lと35Lの二つのサイズを使い分けています。
- 中型のポータブル電源を18Lに、大型のポータブル電源を35Lに入れています。
- スノコは、幅40cm奥行き30cmのものを使っています。
- 小型扇風機は、keyniceというブランドとマキタの2つを使っています。両方とも、車内の手すりにかけることができます。
車外用サンシェードは、フロントドアに挟むタイプが多く、雨天時に雨漏れした経験があるため、挟まないタイプを利用しています。
取り付け箇所が、6点のため、安定感があり、風にも強いのがポイントです。車内のサンシェードに比べて、取り付けの手間がかかります。
ソフトクーラーボックス
ミニ扇風機
外付けサンシェード
▼|こちらがフロントドアに挟むタイプです!
▼|Jackery ポータブル電源 シリーズ専用バッグ
ポータブル電源の車内放置に関するQA
車中泊には「リン酸鉄リチウムイオン電池」がおすすめ
以上で「春夏編:ポータブル電源を車内のどこにどのように放置・置けばいいのか?」を解説してきました。
ポータブル電源は、人間と同じく暑さと寒さに弱いです。暑い環境でバッテリーの劣化が早まってしまうため、そもそも長寿命で高温性能が高く、発火のリスクがない「リン酸鉄リチウムイオン電池」搭載機種がやはりおすすめです。
ぜひ、春夏に車に積んで移動する際は、対策をしてみてください!
参考資料
下記の情報を参考にさせていただきました。
■|国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター リチウムイオン電池の劣化挙動調査 https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2019-sr-01.pdf
■|JAF:真夏の車内温度(ユーザーテスト)
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/summer
■|株式会社とうからく:測定結果
http://park18.wakwak.com/~tabinemu/toukaraku.htm