遂に、固体電池を搭載した世界初のポータブル電源が2023年10月に発売。
全固体電池は、トヨタが2027年~28年を目標に全力で実用化を目指している中、突如現れたヨシノジャパンパワーの固体電池について、深掘りしていきます。
全固体と固体電池の違いや特徴、ライバルと性能を徹底比較をしていき、忖度なしで評価していきます。
Amazonの製品口コミを見てみると「すぐに故障した」という声が多い。やはり、最新電池は不安が多く、また会社も怪しいため、購入は控えた方が良さそうです。
ヨシノジャパンパワー「固体電池」の特徴
ヨシノ社が開発した固体電池の特徴は、安全性が高く、高エネルギー密度(従来のリチウムイオン電池と比較して2.5倍程度の密度)、小型・軽量化で、バッテリー寿命の向上などが挙げられます。
- 安全性が高い
- エネルギー密度が高い
- 小型・軽量化
- バッテリー寿命が長い
ヨシノジャパンパワーの公式サイト上の文章より
しかし、公式サイト上には、詳しいデータがありません。
固体電池と従来の三元系との違い
ヨシノパワージャパンの固体電池は、三元系のニッケル、マンガン、コバルトの個体を素材にしていて、従来の三元系よりも不燃性で安全性が高く、サイクル寿命も大幅に向上しています。また、エネルギー密度が2.5倍も高くなっていると記載されています。
この密度の高さが本当なら、同容量のポータブル電源よりも、圧倒的に小型化を実現できるはずです。
従来の三元系リチウムイオン電池は、発火や有毒ガスのリスクがあり、サイクル寿命は、500回~800回程度で短命だったので、大幅に性能が向上したことが分かります。
固体電池≠全固体電池
ヨシノジャパンパワーの公式サイト上では、「世界初の真の固体電池を作成」「日本の固体電池技術を採用」と記載されていますが、詳しい情報がありません。
更に、80万人程の登録者がいる海外YouTuberのPR動画を見ると、全固体電池と発信をしている為、全固体電池なのか?半固体電池なのか?余計に分かりにくい状態です。
この固体電池は、全固体電池とは、別ものであり、全固体電池のような優位性はありません。しかし、従来のリチウムイオン電池より、ヨシノの固体電池にも、多少のメリットがあることが分かります。
「ヨシノジャパンパワー」について
本社は、アメリカのカリフォルニア州にあり、「ヨシノテクノロジー」という名前です。
海外の公式サイト上に、住所があり、Google Mapで検索すると、大きな物流倉庫にピンがつきます。
製造工場は、別にあり、物流センターに入荷して、保管やピッキングをしていると考えられます。
製造しているのは、中国深セン
日本法人のヨシノジャパンパワーの求人情報を見ると、日本法人は、2023年に設立したばかりで、1人目の募集であることが記載されています。
また、製造工場は中国の深センにある為、必要な人材の語学力は、中国語(北京語)中級とされています。
この事から、日本製ではなく、中華製であることが分かります。
ヨシノさんって誰?
会社名のヨシノパワージャパンの「ヨシノ」が気になったので、調べてみましたが、関係するヨシノさんは見つからず、おそらくリチウムイオン二次電池を開発したヨシノアキラさんの苗字を因んでいる様子。
経営者は、中華系の方で、他のポタ電メーカーと同様、中国深センで作っているメーカーで、日本法人は、販売代理店。
YOSHINO「固体電池」ポータブル電源は4機種
ヨシノジャパンパワーから10月に発売される固体電池ポータブル電源は、4機種で、
- 左から、B300 は、出力300W、容量241Wh
- 次にB600 は、出力600W、容量602Wh
- 次に、B2000 は、出力2000W、容量1326Wh
- 最後に、B3300 は、出力3300W、容量2611Wh
販売価格を予測
海外サイトの販売価格(ドル)を元に日本円に変換しています。
相場は、各容量別で、セール時にライバル機種の相場を記載しています。
日本円予想の価格だと、高すぎるので、価格は相場によってくるでしょう。
ちなみに、海外のYouTuberさんのPR動画では、割引クーポンの配布をしているので、日本でもPRで割引や、Amazonや楽天のセールで安く購入できるでしょう。
ヨシノジャパンパワーの4機種とライバルを比較
では、左のB300 から、同容量クラスのライバルと比較をしていきます。
最小容量クラスのB300とライバルを比較
B300 は、容量299Wh以下の最小容量クラス帯に属します。
比較するライバルは、EcoFlowのRIVER 2、BLUETTIのEB3A、Ankerの521です。
まず、独自評価の平均点が高いのは、RIVER 2の3.4でクラストップです。次にEB3AとAnker 521が3.3、B300 は、3.2で、この中では、一番低い平均点です。
容量は、EB3Aの268Whが最も多い。
電池素材は、B300 が固体電池で、その他3機種は、リン酸鉄です。
サイクル数は、RIVER 2が3,000回で最も優れ、その他3機種は、2,500回。
出力は、EB3Aの600Wが最も高い。
サイズ三片合計は、Anker 521が571mmで最も小さく、B300 は、最も大きい結果となりました。
エネルギー密度が高く、2.5倍と記載されていたので、ライバルよりも小型なのかと思いきや、一番大きい結果となりました。残念です。
更に、重量は、RIVER 2が3.5kgで最も軽量で、B300 は、4.5kgで、最下位EB3Aの4.6kgとほぼ同じです。
その他の性能は、パススルー、アプリ対応、EPSに対応。
セール価格、コスパが最も優れるのは、Anker 521で、22,320円で、費用対容量は、87円です。
B300 のセール価格は、相場に合わせてこのくらいなら、買ってもいいかもという値段設定にしています。
比較結果としては、B300 の優位性は、全く見られず、おすすめできるポータブル電源ではありません。
とはいえ、見た目のデザイン性が可愛いから使いたい!という選び方なら、いいと思います。
中容量クラス帯のB600とライバルを比較
続いて、B600 とライバルを比較していきます。
B600 は、容量600Wh程度の中容量クラス帯に属します。
比較するライバルは、EcoFlowのRIVER 2 Max、RIVER 2 Pro、BLUETTIのEB70Sです。
まず、独自評価の平均点が高いのは、RIVER 2 Proの4、他3台は、3.6で同点です。
容量は、RIVER 2 Proの768Whが最も多い。
電池素材は、B600 が固体電池で、その他3機種は、リン酸鉄です。
サイクル数は、RIVER 2 MaxとProが3,000回で最も優れ、その他2機種は、2,500回。
出力は、RIVER 2 Proの1000Wが最も高い。
サイズ三片合計は、RIVER 2 Maxの726mmが最も小さく、続いて、RIVER 2 ProとB600 の756mmです。
重量は、RIVER 2 Maxの6kgが最も軽量、B600 は、RIVER 2 Proと同じ重量7.8kgです。
B600 よりも容量164Wh多いRIVER 2 Proと同じ重量。ヨシノの固体電池の特徴である小型で軽量は、本当なのか?疑問になります。
その他の性能は、パススルー、アプリ対応、EPSに対応。
セール価格が優れるのは、RIVER 2 Maxの48,675円で、コスパが良いのは、EB70Sの84円です。
今回も、ライバルの価格を見て、B600 のセール価格がこれくらいなら、相場かな?という価格にしています。
とはいえ、今回も、優位性が見られませんでした。
大容量クラス帯のB2000とライバルを比較
続いて、B2000 とライバルを比較していきます。
ちなみに、B2000は、電池残量0%~80%までわずか45分、業界で最速です。
ポータブル電源のAC充電速度は、早すぎると入力値が高すぎて、ブレーカーが落ちたり、電池劣化も懸念されるので、基本的に、アプリ側で充電速度や入力値を下げて充電するようにしています。
ヨシノパワージャパンは、専用アプリもリリースしているので、モニタリングや詳細設定も可能です。
B2000 は、容量1000Wh以上の大容量クラス帯に属します。
比較するライバルは、EcoFlow DELTA 2、BLUETTI AC180、Jackery 1000 Plusです。
ライバルの3機種は、とても人気機種で、売れ筋ポータブル電源です。
まず、独自評価の平均点が高いのは、Jackery 1000 Plusの4.3で、その他3機種は、4.2。
容量は、B2000 の1326Whが最も多い。ここで、やっとライバルよりも優れる性能がありました。
電池素材は、B2000 が固体電池で、その他3機種は、リン酸鉄です。
サイクル数は、BLUETTI AC180が3,500回で最も優れています。
出力もAC180の2700Wが最も優れています。
サイズ三片合計は、DELTA2の892mmが最も小さく、続いて、B2000の894mmです。
重量は、DELTA 2の12kgが最も軽量で、次にB2000 の14.2kgです。
B2000 は、ライバルよりも容量が多いけど、サイズ合計や重量の差がほとんどない為、バッテリー密度が高く、小型化、軽量化を実現できていることが、分かります。
容量が多い方が、内蔵するバッテリーセルの個数が増える為、その分、サイズや重量に差が生まれやすいです。
ここで分かることは、ヨシノ社の固体電池は、容量1000Wh以上から、優位性が出てくること。
その他の性能は、パススルー、アプリ対応、EPSに対応。
セール価格が優れるのは、AC180の99,800円で、コスパも87円で圧倒的です。
今回も、ライバルの価格を見て、B2000のセール価格がこれくらいなら、相場かな?という価格にしています。
とはいえ、AC180が圧倒的にバランス良いポータブル電源なので、大容量1000WhクラスでB2000をおすすめするのも、難しいです。
超大容量クラス帯のB3300とライバルを比較
最後に、B3300とライバルを比較していきます。
B3300は、容量2000Wh以上の超大容量クラスに属します。
比較するライバルは、半固体リン酸鉄のDABBSSON、DBS2300、EcoFlowのDELTA 2 Max、Jackery 2000 Plusです。
三元系固体電池とリン酸鉄半固体電池は、どちらに優位性があるのか?見ていきます。
独自評価は、DBS2300が4.5で最も高く、続いて、DELTA 2 Maxです。
容量は、B3300の2611Whが最も多く、DBS2300より300Wh程度多い。
サイクル数は、DBS2300の4,000回が圧倒的です。
出力は、B3300の3,300Wが最も高い。
サイズ合計は、DBS2300の989mmが最も小さく、次に、B3300の1043mm。
重量は、DELTA 2 Maxの23.5kgが最も軽量。
セール価格は、DBS2300の182,354円が最も安く、費用対容量も78円でお得です。
このクラス帯でDBS2300に太刀打ちできるスペックのポータブル電源は、今までありませんでした。
しかし、B3300の方が容量300Whほど多いのに、出力が高く、サイズ合計や重量に差がほとんどありませんでした。
セール価格が20万円前後になれば、おすすめできるポータブル電源になるでしょう。
結局、ヨシノパワージャパンの固体電池はどう?
ヨシノ社の4機種、それぞれ同じクラス帯のライバルと比較してきました。
全ての性能面での比較はできていないので、一概に良い悪いを判断できませんが、固体電池の特徴としている、バッテリー密度、小型、軽量化、サイクル寿命は、最新のリン酸鉄や半固体リン酸鉄と比較して、大きく優れているとは言えない結果でした。
一つのバッテリーセルでは、とても小さな違いですが、何個も重ねて、1000Wh以上、2000Wh程度にすることで、違いが少しづつ出ていました。
ヨシノパワージャパンの固体電池ポータブル電源の優位性を感じられる、B3300なら、買ってもいいかも。
とは言え、価格次第なので、セールでどのくらい下がるのか?クーポンはあるのか?など、順次情報を追っていき、この記事内に追記していきます。
まだ固体電池は、製造コストが高く、トップメーカーが採用していないので、おすすめはできません。
2024年8月現場は、リン酸鉄や半固体リン酸鉄を搭載したポータブル電源がコストと安全性のバランスがよく、おすすめできます。